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白雪姫にくちづけを
第1章 遠い日
4歳の浩巳と6歳の あずさは、
同じマンションに住む、お隣さんだ。
両親同士の仲が良いこともあって、二人は気づけば姉弟のように毎日一緒に過ごしていた。
今日も、日課の砂場遊びで
浩巳は、大好きな あずさに泥団子をプレゼントするはずだった。
『ひろみくんに会えなくなるの、寂しいよ。』
いつもは負けん気が強く、上級生とケンカをしても泣かない あずさ。
泣き虫の浩巳の為なら、相手が年上の子供であっても、野良犬であっても、いつでも助けに駆けつけてくれた。
そんな彼女が泣く姿を、浩巳は初めて見た。
『なかないでよ、あずちゃん。』
あずさの涙に戸惑いながら、
自分がいつも彼女にしてもらうように、やさしく頭をなでてみる。
けれども、あずさは一向に泣きやまない。