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白雪姫にくちづけを
第1章 遠い日
『ねぇ 、ぼくとケッコンしようよ。』
『ぐすっぐすっ…え、結婚…?』
『そう。ケッコンしたらね、すきなひとと
ずーっと いっしょに いられるんだって。
ママが いってたんだ。』
『…あたし、あたしより弱い人とは結婚しないよ。』
『…!!
じゃ、じゃぁ!ぼく、つよくなるから!』
『それに、大人にならないと結婚はできないんだよ。』
『…!!
う、じゃぁ、ぼく、つよいおとなになる!
だからケッコンして!』
『…本当に?』
『ほんとうだよ!
おとなになったら、ケッコンするから。
そうしたら、ずっと いっしょだよ!
さみしくないね!』
『……うん、寂しくないね。』
『じゃあ、やくそく!』
大好きな あずさと離れたくない一心で
大好きな あずさの涙を止めたい一心で
差し出された砂まみれの小指は
あずさの本来の笑顔を引き出した。
『『ゆーびきーりげーんまーん…』』
夕暮れの公園。
二人の大きな歌声が響きわたっていた。
12年前に交わされた小さな約束。
それは時の流れとともに
二人の記憶から いつしか姿を消してしまっていた。