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白雪姫にくちづけを
第27章 忘却のカケラ
彼女の目の前にあったのは、2人の携帯。
それぞれに、真新しいイヤホンジャックが着けてある。
彼女にはピンク色のもの。
彼には深い緑色のもの。
同柄の色違い。あずさが昼間、彼とお揃いで持ちたいと思った、正にそれだった。
『どうして?いつの間に…』
『…今回は、たまたま//
こーいうトコ、おれはあんまり気が利かないから。今度から、欲しいものがあったら甘えてきてよ…///』
浩巳は照れくさそうに彼女に携帯を渡した。
『ありがとう、浩巳!大事にするね。』
頬を染める彼女。
彼はやさしく微笑む。
『これから毎年、誕生日はおれにお祝いさせて?ひとつずつ、綺麗になってく あずさを、一番に見たい。』
『////綺麗に…なんて、なれたのかな?』
『…なってるよ。』
浩巳の瞳に映る彼女。再会して一年と時は過ぎていないのに、彼の中でその存在は大きく、また魅力をどんどんと増してゆく。
『…だとしたら、浩巳のおかげかな。あたし、浩巳と色んな思いを経験したから…//』
(すきな人と想いが通じて、こうして大切な日を一緒に過ごせる…こんな幸せな気持ち、教えてくれたのは、浩巳。)
『今日は今までの人生で、一番特別な誕生日になったよ。浩巳、ありがとう…』
『あずさ…』
ゆっくりと重なる、彼と彼女の唇。
しとやかに触れ合う2人の熱は、今日の日を心に刻みこむかように、何度も、何度も、繰り返された。