この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
白雪姫にくちづけを
第29章 彼女の涙腺


季節は巡り、春───
進級した彼女達は、大学の帰りに映画館へ立ち寄っていた。


『はーっ面白かったねー♪』


ぐすっ…ぐすっ…


いつもの3人は映画を見終わり、スクリーンから出てきたところだ。


元気なあずさとは対照的に、梨々子はさっきから号泣している。


『ぐすっ…あずさ、あんたの心は鉄でできてんの?』


『は、はぁ?!』


『あんな感動の内容で、あずさちゃん、よくそんな平然と出てきたね…』


泣きじゃくる梨々子の隣で、真っ赤な目をした芽衣が続けて言った。


『や、やだな!あたしだって感動して見てたよ!だから面白かったって言ったじゃない!』


同じスクリーンから出たきた大半の人々は、泣いているか、もしくは泣きはらした目をしている。


しかし、あずさは感動こそしたものの、上映終了まで一滴も涙を流さなかった。


『あたし…昔から涙腺強いんだよ。』


2人の疑いの眼差しが、あずさを突き刺す。


『ほっ本当だってば!そりゃ赤ちゃんの頃は泣いてただろーけど、物心ついた頃からは…泣くのには強かった自信あるもん!』


『…じゃあ撤回するわ。』


梨々子がようやく泣き止んで、あずさを見る。


『心が鉄なんじゃなくて、涙腺が鉛で出来てんのね。』


『ちょっ…!』


『鋼なんじゃない?鋼の涙腺術師。』


芽衣が意味不明な野次を飛ばして笑っている。


『あたしだってちゃんと涙はあるわよ?!目にゴミが入ったり、あくびしたり…ちゃんと出るわよ!』


『あー…なんかすっかり冷めちゃった。ウチの感動の涙も枯れたわ。芽衣、ご飯行こ。』


『そうだね。行くよっ鋼の!』


/286ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ