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白雪姫にくちづけを
第30章 彼の存在
今日は沖田の言うとおり、とても温暖な気候。暖かいというよりはむしろ暑いくらいで、ほとんどの生徒が浩巳達のように上着を脱ぎ、シャツで過ごしている。
『ごめんな、浩巳。シャツの血。今度新しいの渡すわ。おれこんなんだから、シャツは新しいの、何枚か持ってんだ。』
『気にすんな。それよりお前、喋りすぎ。黙って安静にしてろ。』
『…////』
『その反応もよせ!』
*** *** ***
一時限休んだ後、次の授業に沖田は復帰。
無事に本日の授業を終えて帰り支度をしていると、沖田が『あ』と声を漏らした。
『おれそーいえば、今日は資料整理当たってんだった!』
『ああ、例のやつか…。それでお前、今日部活は?』
『部活は休みもらったよ。今日はもう、鉄分足りねーもん。』
『そうか。じゃーとっとと帰れ。資料はおれが代わってやる。』
『え、もうダイスキ浩巳ーーー♡』
『それ、今度やったらコロスからな。』
抱きつこうとする沖田をかわして、浩巳は資料室へ歩きだした。
授業の補足に使う教材などを保管している資料室。主に教師が使用する部屋で、生徒は普段立入らない。
しかし、この度資料室は2階から3階へ部屋を移すことになった。
この大量の資料運びを…普段の素行に問題のある生徒数名が、担任から指名されて請負うことになっていた。
沖田は、宿題の未提出常習犯で、案の定、これに任命されていた。