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白雪姫にくちづけを
第7章 パン屋“ヨネムラ”
カランカラン
『いらっしゃいませー』
!!
『あずさ…!?』
バイト初日、まさかの最初のお客様は、浩巳だった。
開いた口が塞がらない2人は、ショーケースを挟んで棒立ちになっている。
『『なんで…』』
2人の言葉が重なったとき、奥からご主人が出てきた。
『おお、いらっしゃい。いつものやつかい?
この子は今日から来てもらうことになった中山さん。
中山さん、彼はウチの常連さんなんだ。
…ん?もしかして、2人は知り合いなのかな?』
『あ、えっと、幼なじみで!』
『へえ!
あ、いらっしゃいませー。じゃあ中山さん、レジ頼んだよ。』
『はいぃ!』
『バイト…?』
『あ、うん。びっくりしちゃったね。何にする?』
『…コレ2個』
浩巳は少し目を泳がせながら、ショーケースを指差す。
『ワッフルだね。』
(ふふ、そっか、甘党だって言ってたもんね。おじさんが言ってたいつものって、コレかな?)
心なしか笑顔になり、意外と普通に接することができた。
『はい、おつり。』
『ん。あずさ、バイト何時までなの?』
『今日は22時だけど。』
『ふーん…。じゃあまた来るから。ガンバレよ。』
『あ。ありがとうございましたー』
そこからラッシュが続いて、あずさのバイト初日は あっという間に時間が過ぎた。