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白雪姫にくちづけを
第32章 番外編
*** *** ***
後日。
【今日、引越しのバイトが入った。
資格試験の参考書が欲しいから、代わりにお願い。
本はバイト先の小泉さんに取置きしてもらってるから、受取りだけ。支払は済んでる。】
『え〜っと…あ、いたいた。』
あずさは浩巳のLINEに誘われ、彼のバイト先へやってきた。
もちろん、これは浩巳と小泉の立てた作戦である。
『こんにちは。お待ちしてました。もうすぐ私、バイトあがるので、少し待ってていただけますか?』
小泉の申し出に何の疑いもないあずさは、快く了解した。
『お待たせしました!これが遠藤さんの参考書です。』
『ありがとうございます。あ、そう言えば!先日はバレンタインのマドレーヌ、ごちそうさまでした。お2人でという言葉に甘えて、美味しく頂きましたよ。』
『お粗末なもので…でも、お口にあったなら良かったです。』
『すごく美味しかったですよ!やっぱり、あたしには難易度高かったって思いました。…あ、立ち話も何だから、お時間よければ、少しお茶でもしませんか?この間のお礼に、ごちそうしますよ。』
(さすが、遠藤さん。彼女の思考がよく分かってるなぁ。)
───「あずさはたぶん、バレンタインの礼を言うと思う。愛想よく受け答えしてくれたら、お茶にでも誘われると思うよ。逆に、全部、小泉さんから仕掛けても返答はイエスだと思う。」───
『じゃあ、そこのケーキ屋行きましょう。カフェスペースもあるので。』
浩巳の思惑通り、あずさと小泉が2人きりになる機会ができた。
(後はうまくやりますから。任せてください、遠藤さん!)