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白雪姫にくちづけを
第8章 足音


『ただいま。』


『あら、今夜の散歩は終わったの?』


『ん。はい。』


浩巳は母にコンビニの袋を渡して部屋に戻った。


『ふーむ…今日はお醤油、ね…。』


袋の中身を確認して、母はポツリとつぶやく。


浩巳の謎の行動は一週間ほど前に遡る。


浩巳のバイトがない日、風呂をあがったかと思えば、『散歩』と称して夜中に出ていくのだ。


初日は手ぶらで帰ってきたが、それ以降は必ず、駅前のコンビニで“何か”を買ってくるようになった。


そしてそれは、決まって母へと渡される。


(わざわざコンビニで牛乳だの調味料だの…買ってくる物の種類は色々だけど、これは謂わゆる“アレ”ね。)


カンの鋭い母には大よその察しはついているが、黙って見守ることにしている。


(無事に帰ってくるし。行動範囲も分かるからね。ふふ。青春ねー♪)


一方、浩巳は部屋でイラついていた。


(誰だよ、あれ。)


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