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白雪姫にくちづけを
第10章 土曜日


『中山さん、そろそろあがっていいよ。』


ショーケースを拭くあずさに、ご主人が声をかけてくれた。


『あ、でもまだもう少し、時間残ってますので。』


時計を見ながら、あずさが奥を振り返る。


『いいの、いいの。お祭りに友達が出るんでしょ?せっかくだから最初から観てあげなきゃ。今日はお客さんも少ないし、私一人でも平気だから。』


おばさんにも促され、あずさは早めにバイトを切り上げた。


*** *** ***


祭りの舞台である商店街は、大学生を始め、多くの人で賑わっていた。


(わぁ~こんなに盛大なお祭りだったんだなぁ。)


屋台を出したり、それぞれのお店が店前で色々なものを売っている。


(まだ時間あるし、何か見て回ろうかな…)


『…ねぇ。』


『ん?』


足元から聞こえた少女の声に、あずさはしゃがんで応える。


『こんにちは。どうしたの?』


『まいどありです!』


『え?ちょちょちょっと…??』


得意に笑う女の子に手を引かれ、あずさは 数歩先のお店の前に連れてこられた。


『パパお客さん!』


そこはガラス細工の工房だった。



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