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白雪姫にくちづけを
第10章 土曜日
*** *** ***
『芽衣、お疲れさま!かっこよかったよ!』
『芽衣ちゃん、強かったね!』
『来てくれてありがとう~緊張したよ~!』
芽衣のサークルの演劇は、戦隊ものの隊員が、悪の組織と戦う、ヒーローショーのようなものだった。
中でも、ピンクの衣装に身を包んだ芽衣が、着ぐるみの怪獣を背負い投げした時には、子供達から大きな歓声があがっていた。
『つーか、背負い投げって柔道だろ!』
ショーを見ていたらしいカズヤが、芽衣にツッコんだ。
『あはは、昔、柔道もやってたんだよ。合気道だけじゃ派手な技がなくて、盛り上がりに欠けるかと思って。』
普段、物腰の柔らかな芽衣が、額に汗を光らせてハツラツと笑っている。
…人は見かけによらないとは正にこのことだと、3人は心底思った。
『あはは…じゃ、あたしはそろそろ帰るね。』
『ウチらも行こうか。』
あずさが輪から抜けると、
それと反対方向へ梨々子と彼氏も、仲良く人混みに消えていった。