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白雪姫にくちづけを
第10章 土曜日
『おーい、あずさ!』
『あれ、カズヤ。他のみんなは?』
足早に帰る彼女を追って、カズヤが駆けて来る。
『おれらも解散したんだ。一緒に帰ろうや。』
『いいけど。珍しいね、いつも夜中まで遊んでるイメージだけど?』
『おう当たり!かれこれ3日、オールが続いてさ…もう眠いのなんのって!今日はもう寝るんだ。月曜まで寝る!』
『あはは、寝貯めですか!』
彼らは学部もアパートも同じなので、何かと話す機会が多い。あずさにとって、カズヤは一番仲の良い男友達になっていた。
『おーよ!ところで、あずさこそ今から何すんの?早めのメシでも行く?』
カズヤの誘いに、あずさはニヤリと笑う。
『ふっふっふ…!
あたしはもう昨日までのあたしじゃないよ?自炊するのだ!』
『マジか?!お前…メシ、炊けるの?』
疑いの眼差しに射抜かれながら、あずさは家路を急いだ。
(早く帰って用意しなきゃ…!浩巳と晩ご飯だもんね♪)
今度こそ浩巳と楽しい時間を過ごそうと、あずさは意気込んでいた。
…それは、かつての姉弟のような関係を取り戻したいと思っていたからだろうか。
彼女はまだ、自分の本心に気づけずにいた。