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白雪姫にくちづけを
第11章 接近
狭いキッチンは、2人が並んだだけで、ぎゅうぎゅうだった。
お互いの腕は触れあい、真ん中に置いたレシピ本を見る度、2人の距離は縮まる。
トントントントン…
(うぅ…なんでそんな上手いのよ、浩巳。
お手伝いとか、よくやってるのかな?)
あずさが彼の包丁さばきを盗み見ていると…
『おれ、包丁は家庭科の授業くらいしか触ったことないよ。』
『!!』
彼女の思考を読んだように、浩巳は手元を見つめたまま答える。
(な、なんでバレたの?!考えてること///
でも、そういえば昔、よく…)
『そういえば昔さ、おれが母さん、あずさが父さん役で、よくオママゴトしたな。』
くすっと笑う浩巳の横顔を見上げながら、あずさは目を丸くする。
『あ、覚えてないか?』
『今、同じこと考えてた…』
『ははは、気が合うじゃん。』
(…なんだろう、この気持ち。)
2人並んで料理をしているうちに、あずさは妙な感覚に陥った。
浩巳とは、何度か肩を並べて歩いたが、こんなに接近したのは初めてだった。(…公園のキスを除いて)
包丁を扱う彼の細くて長い指も、妙に色っぽく見える。
(それに今更だけど、背、高いんだなぁ。
…昔はあんなに小さかったのに。
ちょうど、抱きしめられたらあの胸板が…)
『あずさ、味見は?』
『え!?えぇ!!』
目の前に浩巳の顔が現れて、後ずさる。
(まさか、今考えてたことはバレてないよね//?!)
『え?じゃなくて味見だよ!ぼさっとしてないでほら!』
渡された小皿に煮汁をい入れてすすってみる。
『うん、いいんじゃない?』
『じゃ、おれも♪』
お玉と小皿を奪った浩巳が、横から味見をしてくる。
『お、うまい!』
(その小皿、間接キス//…なんて、浩巳は意識しないよね。
だけど、こうやって浩巳と料理するの、楽しいな…)
『…一緒に料理するの、楽しいな!』
(あ、また、同じこと…//)