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白雪姫にくちづけを
第12章 募る想い
『梨々子ちゃん、そんな無粋なマネしたの?!』
あの祭りがあった日から2日目の月曜日。
本日の講義が終了し、いつもの3人は校内にあるカフェに来ていた。
『だぁ〜か〜ら~!まさかあずさが、男連れ込んでるとは思わなかったの〜!』
梨々子は手元の雑誌に目を落としながら、声だけで反論した。
『ちょっとりっちゃん、言葉には気をつけてよ。一緒に夕飯食べてただけだって!』
『えー?でも、イィ雰囲気だったんでしょ〜?梨々子ちゃんが来なかったら、絶対、告白されてたよね〜!きゃー♡』
『もうー…そんなの分かんないってば!//』
『〜〜〜分かるわよッ!後ろからハグされて「妬いた」って。そんなのもう、好きって言ってるようなもんだよ!』
雑誌を閉じた梨々子は、今度は身を乗り出してあずさに意見した。
『そうそう。梨々子ちゃんが邪魔しなかったらねー。』
『…芽衣しつこいー!』
『それで、梨々子ちゃんは何の騒ぎだったの?』
梨々子が泣いていた理由───
それは、祭りの後に些細な事でケンカをし、機嫌を損ねた彼氏が一人で帰ってしまったというのが原因だった。
だが、散々、あずさが梨々子を慰めた後に彼氏から電話があり…あっさりと仲直りしたのだった。
『男と女って、そーいうもんよね?』
てへっと舌をだして可愛い顔をしてみる梨々子を、芽衣は横目に流す。
『その上梨々子ちゃん、そのままあずさちゃん家泊まったんでしょ?…散々な土日だったねぇ、あずさちゃん。』
『もう芽衣!ウチばっかり責めて!ウチもあずさの話聞いてあげたんだから、ちょっとは役に立ったもん!』
そう。あずさにとっても、あのタイミングで梨々子が訪問してきたことは、まんざら悪いものでもなかった。
(あのまま、りっちゃんが来なかったら…たぶん、あたし気絶してたかもしれない//)
人生で、あんなに脈拍を使った時間はないと思うほど…
今まで色恋沙汰にめっぽう縁のなかった あずさは、卒倒寸前まで追い詰められていた。