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白雪姫にくちづけを
第13章 花火大会
『いよいよ決戦の日だね!』
『あずさちゃん、あとは私達にまかせて!』
花火大会当日───
あずさのアパートに集結した梨々子と芽衣は、様々なグッズを手に、意気揚々としていた。
この日の為に、2人は浴衣や髪飾りなど、あずさに欠ける女らしさを補うアイテムを一緒に選んでくれていた。
当然、着付などできない浴衣は、芽衣が丁寧に着せてくれる。
縁のなかった化粧、華やかな髪型は、梨々子が施してくれた。
『あずさちゃん、可愛いよ♡』
『これを期に、普段から化粧くらいしなって!』
仕上がりを鏡で見ると、まるで別人のよう。
『髪がくるくる…』
『アイロンで巻いたの。たまにはアップもいいでしょ?』
梨々子は美容への関心が高く、器用に編み込みを入れたり、美容院で注文したようなヘアスタイルに仕上げてくれた。
『苦しくなったら、少しここを緩めてね。
着崩れてきたら、ここを引っ張るんだよ?』
芽衣は浴衣での歩き方や、着崩れしにくい所作を教えてくれる。
『2人とも、ありがとう…!』
待ちに待ったこの日、あずさは自分の気持ちを浩巳に伝えようと、心に決めていた。
(浩巳にやっと会える…顔が見たい。声が聞きたい。早く、会いたいな…)
『さ!次はウチらの番だから。あずさはそこで、もう一回、見学してな~。』
2人に背中を押された気分で、あずさは浩巳との待ち合せに心を踊らせた。