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白雪姫にくちづけを
第13章 花火大会
手頃な場所は見つからなかったが、かわりに、あずさはおいしそうな匂いを嗅ぎつけた。
『あれ、食べたい。』
『ん?塩焼きそば?…ハハ、はいはい。
ここで待ってて。飲み物も買ってくるから。』
『うん。』
あずさを木陰に残し、一人買い物へ向かった浩巳。
…数分後、何やら言葉を発しながら戻ってきた彼の後ろには、数人の高校生達が連なっていた。
『うわ、超美人!
何だよ浩巳!彼女いるじゃん。』
(お友達…かな?)
『ついてくんなって言ったろ!沖田!
あずさ、ごめん。無視していいから。』
『えー浩巳、年上と付き合ってんの?』
(う、女の子もいるんだ…なんかジロジロ見られてる…)
好奇の目を寄せる高校生達にたじろいでいると、浩巳に腕を掴まれる。
『ちょっと走れる?』
こっそり耳打ちされたあずさは、コクンと頷き…
タタタタッ…
『おい浩巳ー!』
一瞬の隙をついて人混みに紛れ、2人は高校生達をまいた。
『はぁ、はぁ…』
『ごめん、あずさ。無理やり走らせて。ケガしてない?』
『大丈夫…ちょっと足が痛いけど。』
そう言うと、辺りを見回した浩巳は
一人分だけスペースの空いた、近くのベンチに彼女を座らせた。
『いい場所見つけれたね。ここからでも花火見えるかな?』
汗を流して笑う浩巳の笑顔が、あずさには眩しい。
『でも良かったの?友達、置いてきちゃって。』
『いいよ。邪魔されたくない。』
目を合わさずにコーラを飲む浩巳の姿に、
あずさの胸はトクンと音を立てる。
焼きそばを食べ終えた頃には、辺りも薄暗くなり、祭りのちょうちんが赤く染まり出した。
…すると今度は、女子高生のグループに出くわした。