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白雪姫にくちづけを
第13章 花火大会
離してはまた角度を変えて…
何度も何度も、味わうようなキス。
(立っていられない…頭がおかしくなりそう…//)
甘くくちづけた唇を離すと、
火照りを隠せない彼女の表情と出会った。
『…ちょっと、こっち。』
微笑んだ浩巳は、あずさの手を取り、脇道に誘導する。
手頃なブロックに腰を落とさせ、下駄を脱がせた。
『気休めかもしれないけど、コレ貼って。』
あずさに数枚の絆創膏が手渡される。
『…どうしたのコレ?』
『もらった。』
短く話す浩巳だったが、あずさは何となく気づいた。
(もしかして、さっき女の子達と話してたのって…これ、貰うためだったのかな?)
それ以上、何も言わず、浩巳は あずさの下駄の鼻緒を引っ張っている。
(ばかだなぁ…あたし//)
浩巳の好意に甘え、応急処置をしたあずさは、再び立ち上がった。
カランコロン…
『足、どう?…痛くない?』
『うん、もう平気…ありがとね。』
ニコッと見上げる彼女に笑みを返しながら、浩巳はあずさを待合せ場所だった神社まで導いた。
20段程ある石段を登ると、小さな境内が見える。
『ねぇ、勝手に上がって大丈夫なの?』
『神さまは花火くらい見せてくれるよ。』
手を引かれて境内の階段に上がり、後ろを振り返った。
『…わぁ!』
くぐり抜けてきた鳥居の真上に、
うち上がる花火が見える。
『子供の頃、来たことあるの思い出してさ。
石段からじゃ低くて見えないけど、ここまで登ると意外と見えるんだ。』
あまり知られていない場所なのか、2人の他に ここから花火を見物する人はいない。
ドォン…ドン!!
パチパチパチパチパチ…
『は──…きれー』
頭を寄せて夜空を見上げる彼女の横顔は、彼の心を大きく揺らす。
『ほんと、綺麗だね…』
『うん!ほら、大きいの上がったよ!』
キラキラ輝くその美しい花に手を添えて
彼は気づかれないように、そっと眺めた。