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白雪姫にくちづけを
第13章 花火大会
『送るよ、あずさ。』
差し出された手が、あずさを こそばゆい感覚へいざなう。
『…うん//』
(浩巳と、堂々と手をつなげるんだ…)
重なった手に指を絡ませ、きゅっと握る。
それだけで頬を染める彼女の姿が、浩巳には愛しく映った。
夢見心地の帰路はあっという間だった。
『じゃあ、おやすみ。』
『おやすみ…』
繋いだ手を離せずに、あずさが俯くと
チュ
浩巳はそっと頬にキスをした。
それでも、まだ表情の冴えない あずさは
手を繋いだまま上目遣いで彼の様子を伺う。
『…帰っちゃうの?』
『…!//そんな顔されたら…』
少し強引に奪われる唇。
繋いだ手を引寄せ、浩巳はきつく彼女を抱きしめた。
まだ扉の外にも関わらず、繰返されるキスに吐息が漏れる。
『…ん…はぁ…』
浴衣からのぞく首筋へキスを落とすと、
浩巳はあずさを解放した。
『おれだって男だから…あんまり誘惑しないで…』
そっと あずさにだけ聴こえるように囁くと、
彼女は背を向け、扉の鍵をあけた。
ガチャガチャ…ガチャ
『ぅおっ…!』
バタン!!
扉を開けた途端、
あずさは浩巳を部屋に引っ張り込み、扉を閉めた。
『あず…!』
『離れたくない…!』
壁に押しつけるように、浩巳の胸に飛び込んだ。
『こんな気持ちのまま、一人で眠れないよ。
ずっと、会いたかったんだもん…!
お願い、一緒にいて…』
(やっと、気持ちが通じたんだ…
…もっと、この腕の中にいたい…!)
あずさは溢れる想いを隠さずに伝えた。
『…意味、分かってるの、あずさ…?』
壊れ物に触れるように、そっと、あずさの肩を抱く。
浩巳の押込めた感情も、もう溢れ出していた。
『あたしだって…コドモじゃないもん。』
あずさの頬が浩巳の両手にやさしく包まれる。
チュ…チュッ
『…シャワー浴びるね。』
あずさは、扉の鍵を閉めて言った。