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白雪姫にくちづけを
第14章 通じあう心*
『ふう…』
コンビニで買い物を済ませた浩巳は、
おもむろに空を見上げる。
今夜は月がほぼ満ちていて、
満月までもう少しといったところだ。
(本当に、今夜…)
夏のぬるい風に吹かれながら、ぼんやりと熱を持った額に 手の甲を当てて歩く。
(緊張…する。)
あずさと気持ちが通ったことで、今日まで募らせた想いが せきをきったように溢れ出している。
先ほど抱きしめた彼女の感触が、まだ手に新しい。
(こんな気持ち初めてだ…)
あずさと再会してから、浩巳はもう幾度となく そういう感覚に陥ってきた。
(あずさを前にしたら、自分が自分じゃなくなるみたいで…おかしくなる…
でも、もっと、
もっと、あずさを知りたい…!)
自らに湧き上がる感情に戸惑いながらも、彼は意を決した。