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白雪姫にくちづけを
第18章 浩巳の憂鬱
『まだ、写メ撮ってくんないの?』
つまらなさそうに梨々子がぼやく。
梨々子と芽衣は、浩巳の顔を知らない。
花火大会当日、待合せ場所の神社まであずさに付き添ったものの、浩巳の姿は遠目にしか見えなかった。
それ以前に、梨々子はあずさの部屋で、彼と鉢合わせた経験があるのだが…当時、大泣きしていた梨々子には顔を確認する余裕はなかった。
『んー…まだっていうか、撮らせてくれない。』
『あずさちゃん、もしかして「友達が見たがってるから」とか、正直に話してない?』
『え、そうだけど…』
『『ばか〜!』』
2人は声を合わせて、あずさの両頬をつまんだ。
『それじゃ撮ってくんないの当たり前でしょ!』
『自然に撮ればいーの!自然に!』
『ひたい!はらひて〜!』
♪ピンポン♪
机に置いたあずさの携帯が、音を立てた。
ポップアップ画面で相手を知った2人は、にやにや笑みをこぼす。
『ちょっと見ないでよ//』
『中身は見てないよ、何て何て?』
それは、あずさの講義終了を待っているという、浩巳からのメッセージだった。
『え、どういうこと?3号館で待ってるって…浩巳くん、大学来てんの?!』
『りっちゃん、チャイム鳴ったよ!講義講義!』
(迎えに行くとは言ってたけど、こんなに早く来るなんて…絶対…ついてくるよね、この2人…)
ソワソワしながら50分の講義を終え、彼女達は3号館へ急いだ。