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~罪の天秤~
第3章 人の不幸を笑う罪
バイト先の従業員用の扉を開けた瞬間、大きな泣き声が聞こえた。

……渡辺雪菜の声だ。

「そんな男早く忘れちゃいなよ~」

慰める他のバイトの女の子の声に混じりながら彼女の嗚咽が耳に入る。
私は心の中だけで笑いながら休憩室に入り、彼女たちの横を通りすぎた。

いい気味。
もっと泣けばいい。
もっと悲しがればいい。

私の虐めに加担しなければこんなに早くバレることもなかったかもしれないのにね。
バカな子。

素知らぬ顔でホールに出ようとした私の腕を誰かが引っ張った。

「あんた、A大だったわよね」

強い力に驚きながら振り向くと、さっきまで泣いてたはずの渡辺雪菜がすごい形相で私を睨んでいる。
あまりの変わりぶりに声も出せずにただ頷いた。

「梅田雄二知ってる?」

咄嗟に横に首を振った。
それくらいあの可愛らしく振る舞ってた彼女とは思えないほど醜い顔をしていたのだ。

「ふん、使えない奴。……ってか誰だか知らないけど絶対許さないんだから!」

私にとっては意味不明な言葉を吐く彼女。
後でそれとなく他のバイトの子に聞いてみようと思いながらホールに出た。

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