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第3章 花火大会の夜は切なくて

「よ、ようちゃん…」
　
　
　陽輔の手に反射的に華子の躯は、ピクンっと反応してしまう。
　その突然の行為に思わず躯を逃がそうと後ずさりした華子だったが、それを阻止するべく。陽輔の手は華子の膝に当てられ、ぴったりと合わせられた両の膝を左右に割った。
　
　
「そう言うのは、優しさって言わないんだよな、…はな。」

　
「…いったい、なんのこと？」
　
　
―――いったい、ようちゃんは何を見たの？優しさって、なんのことなの？
　
　
　低いトーンで、そう一人呟いた陽輔が、華子の問いには答える事は無い。
　でも、強引に膝を割った行為とは対照的に、そろりと内ももから膝裏…ふくらはぎに向かって、ゆっくりとなぞっていく指は酷く優しかった。