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官能ショートショート『二人はツン・ツン』
第3章 ~バレンタインデー編~

「か、彼女じゃねえよ、今日初めて会って、渡されたんだよ」

「初めて会う人にチョコ渡すわけないじゃない! 正直に言って!」
 
「なに、怒ってんだよ、おかしいぞ!」

「怒ってなんかないわよっ! あんたにチョコあげる女って、どんな物好きな女か、すごーく興味があるだけ、誰よ!」

「電車降りるときに、女子高生が急に近づいてきて、これ、俺に渡したら、もう走り去っていったんだよ」

「女子高生!? うそばっかり、そんな青春ドラマみたいなことあるわけないじゃないの!」

「ホントなんだって……」

「どれ、どれ……」

「こらっ、バカ、中、見るな!」

「メッセージカードがある……なになに……ずっと遠くから見てました、良かったらメール下さい、ハートマーク……あ、手作りチョコだ……」

「お前、バカ……」

「で? どうするの? これ……」

「どうするって……別に……」

「あんた、メールする気だったでしょ? この巨乳女子高生に! この変態! ロリコン! 犯罪者!」

「す、するわけねえだろうが! それに誰が巨乳って言った!」

「信じらんない!」

「お前、さっきから何怒ってんだよ、おかしいぞ、別に俺、なんとも思ってねえよ……貸せよ……こんなチョコ……こうすりゃいいんだろ……?」

「あっ! なにしてんの!」

「要らないから、ゴミ箱に捨てたんだよ」

「バカっ!」

「痛っ! なんで叩くんだよ! お前が怒るから捨てたんだろうが!」
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