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第2章 決行

それに恐らく、画面越しの友人に信頼されているは、どことなく和人にも伝わった。仲が良いとは言え、久しく会話する友人にこんな犯罪話を漏らすなど、和人への信頼がなければ並大抵の神経では出来ないはずだ。

和人は警察にこの計画を漏らさない。

それを大前提に計画を教えてくれたはずなのだ。女による酷い仕打ちを受けた身同士、たとえ和人が復讐に不参加となっても、そこは見過ごしてくれる確信を直感的にパトロンは感じ取っていたのかもしれない。今まで築き上げた友情に賭けて信じてくれた相手を、和人もまた信じたかった。

そうと決まれば二人の行動は迅速になる。

詳しい計画内容はチャットに付属している添付機能を活用して、パトロンからファイルを受け取る事により和人は知る。活字だけの書類ファイルの取り込みは数秒もかからず、ダウンロード完了と同時にスクリーンの最前面へと自動的に開いた。

それに目を通す前に一度チャット画面へ戻り、ひとまずパトロンに無事ファイルが届いた事を伝えて会話を終了すれば、和人は再び書類ファイル画面へと向き合った。

まず目に入ったのは「計画書」とシンプルに付けられたタイトル。一番最初に書かれた大きめなフォントで己の存在を主張する文字は、どこか緊張感を誘う。あまりにも生真面目なファイル名のおかげで、この非現実的な復讐劇に少し現実味が帯びてきたようにも思えた。そんな緊張する自分を落ち着かせようと、体は自然と深い溜め息を何度か吐く。

カリカリ、とマウスのスクロールと共に肝心の計画内容を見れば、この復讐がどこまでも真剣に取り組まれているのだと証明していた。日付けや待ち合わせ場所はもちろんの事、誘拐の際の注意事項、理想的な時間配分、レイプの際は何をして良いのか悪いのか、大野雪の個人情報、そしてその女がどんな事を屈辱的に感じるかなどが詳細に書かれている。膨大ではあるが、理解のしやすい資料に感銘を受ける。