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あたかも普通の恋愛小説
第15章 秘密の花園


「これを見て……郎太は私が井藤くんとも付き合っていると。そう思ったわけね?」

「ごめん。疲れてたから冷静な判断とか出来なかった。……よく見たらそんなにイチャついてる写真でもなかった……」


そうね。私がしかめっ面なのが特に。


「最初にデコチュウしてる写真見ちゃって」


順番によっては次の内緒話してる写真もイチャイチャに見えたりするわけね。


「っていうかデコチュウとか何なのアイツ」

「私。このとき頭突きもされた。……けど井藤くんだったらわりと誰にでも馴れ馴れしくボディタッチとかしてそう」

「…………そうだね」


思い当たるふしがあったのか、郎太は静かになった。チャラ男の井藤くんにはデコチュウくらい挨拶でしょきっと。少なくとも私には深い意味があるとは思えなかったけど。


「心配しないで。私が好きなのは郎太だけだから」


私がはっきり言い切ると、郎太が抱きしめてくれる。にゃん、幸せ。


「嫌な思いさせてごめん……」

「お風呂入ってあったまったほうがいいよ?あんな雨にあたって郎太風邪ひいちゃう」

「……気にならないの?」


郎太が私を抱きしめたまま、低いトーンで呟く。


「ん?」

「――誰の仕業かとか、」

「写真?井藤くんから聞いたよ。そういうプロのひとが調べに来るかもって」


郎太は目を丸くして絶句した。


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