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あたかも普通の恋愛小説
第15章 秘密の花園


また私を抱きしめて郎太が髪を撫でてくれる。すごく幸せで目を閉じた。


「俺の母親は仕事人間で、自分の時間を優先するくせに嫉妬深くて。親父にしてみたらそれは単なる自分勝手に思えたらしいんだ」

「あ。ちょっと郎太もお母さんに似てる?真面目で研究熱心で愛情深くて」


ニコニコして私が言うと郎太はそんな私を覗き込んだ。


「重いよね」

「素敵なことだと思います。尊敬しちゃう。忙しいのに私のことも好きでいてくれて嬉しい」


思ったままのことを言うと郎太の眼差しが揺れた。


「私ってばわりとないがしろにされて来たから。愛されたり大事にされたり…そういう経験あんまりなくて。好きでいてくれたひともいたかもしれないけど、都合のいい女でしかないのが大半で。だいたい、『好きになる』って相手を何か尊敬出来ていないと多分気持ちも長続きしないし。郎太はね、私を満たしてくれるの。好きでいさせてくれるし好きでいてくれる。それって贅沢」


これ以上何かを望んだら、きっとバチがあたっちゃうよ。私には最高のひとなんだから。


「小鳥……」

「私をみつけてくれてありがとう」


心から思うの。郎太に感謝しないと、って。


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