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あたかも普通の恋愛小説
第15章 秘密の花園


「俺の両親はお互い不満をぶつけあってたよ。相手を責めるばかりで。最初は好きでも、好きだから拗れて戻らなくなる。そんな失敗を見て育ったから、恋愛なんてするもんじゃないと思ってた、ずっと」


今まで彼女なんか作らなかった郎太は、ご両親の離婚を引きずってたからなんだね。色恋沙汰に冷ややかだったなら、どうして私を好きになってくれたのかな。

私を抱きしめる腕がそっと緩んだ。そのかわりに熱い吐息が近付く。


「最初に見かけたときは、ただ可愛いなって思っただけなのに」


見上げた先に一層潤んでる瞳があった。


「男女問題はお互いの責任だっていうのは、親父たちを見てて俺が思った結論。長年自分の中に閉じ込めてた答え。だけどそんな話をしたのは小鳥がはじめてで」


愛しそうに私を撫でて郎太は目を細めた。


「気付いたら、どんどんひかれて、欲が出てた。俺が守ってあげたいって」

「私も、郎太に会う度、どんどん好きになってた。救われてた」


特別だったと思う。


「それもじゃあお母さんのおかげね」


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