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あたかも普通の恋愛小説
第4章 恋花・火花
梨花子の長いお説教は聞きあきたのに、またいつものペース。でももう違う。私にも好きって思えるひとがいる。怒られてもちょっとご機嫌でいられた。もう流されてばかりの私じゃないって強気でいられた。
梨花子が怒るたび姫紗ちゃんが慰めてくれるのもおかしかった。私は浮かれていたかもしれない。色んなことを聞かれていっぱい話した。えっちな話もたくさんした。
それが失敗だったと知るのは、後の合コンでのこと。
なんとこの女は合コンの席で私の異性遍歴を語りだし、男子たちドン引き。私もドン引き。
最初っから私を陥れるために仲良くなって話を聞き出しただけじゃない。なんて性格の悪さ。
別に男子が私にドン引きしても構わないけど、偏った情報を悪意的に流す姫紗は最低に見えた。あれで勝ったつもりなのかしら。
でも、大半の男子は私と距離をおいて離れた中で、一人だけそうじゃなかったひとがいた。すごく女慣れしてそうで、いかにも遊び人風の大学院生、井藤篤司。そりゃあ引かないでしょうね、同じ種類の人間だと思ってるんでしょうね。
今日集まった男子の中では一番のイケメンだったから、姫紗が悔しそうにしていたんだけど、私としてはこの手の男子に言い寄られても困る。手慣れた強引さでグイグイ来られるとどう逃げたらいいのかわからない。
(しかも、ちょっと先輩に似てる……)
昔のトラウマが擽られて、気が滅入った。