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あたかも普通の恋愛小説
第6章 駆け引き、誤算、泡沫の恋
私は思わず、ほんとに思わず。真壁さんの手を両手で握り、自分の胸元に抱きしめた。大事なものを抱え込んでお願いするみたく。
「お薬。塗ってくれますか……?」
ちょっと待って?
確かにそういう願望はなきにしもあらずだけど、あれれ?どうして心の声が口から出ちゃったのかな?
頭が正常な理性を取り戻しサーっと青ざめる私と。反対に意味を理解してカーっと赤くなる真壁さん。やばい。やっちゃった。
「あ、あのっ、ちが、ちがうんです!」
そんなこと言うつもりはなかったんです。口が!この口が勝手に!
「あー…えーと。いるよね、傷とか怖くて見れないひと」
ちょっと視線が泳いでる真壁さん。都合よく誤解してくれてありがとうございます。
「そ、そうなんです…傷とか血とか苦手でっ」
確かに得意じゃないけど。