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秘密
第2章 誘い
『返事を待っています』
ベッドの上でメールを確認した沙織は、動揺している自分自身に焦っていた。
予想してはいても実際に連絡が来てみると、すでに罪を犯してしまった気分になる。
まだ眠りの中にいる夫の顔を見つめ「あなたのせいよ」と心で呟き、自分への言い訳だと気付く。
光の線が夫と自分の腰の辺りを横切り、細かな埃がキラキラと舞って壁を作っている。
腰から下はいらないと、誰かに嫌味を言われているようだと思い、沙織は緩やかに縁を辿るその光を見つめてクスリと笑った。
今日も暑くなりそう
カーテンの隙間から射し込む陽の光に向かい、立ち上がってそれを勢いよく開け放つ。
「……」
どう返事をするべきなのか、沙織は迷っていた。
なぜ迷っているのか、なぜ簡単に、「No」という答えが出せないのだろうかと自分を責めた。
胸の鼓動は勝手に高まり、カーテンを握ったままの指先が震える。
「沙織、眩しいよ」
夫が目を覚ました。
「おはよう。
今日もいいお天気よ」
沙織はレースのカーテンだけを閉め、笑顔を残して階段を下りた。
ベッドの上でメールを確認した沙織は、動揺している自分自身に焦っていた。
予想してはいても実際に連絡が来てみると、すでに罪を犯してしまった気分になる。
まだ眠りの中にいる夫の顔を見つめ「あなたのせいよ」と心で呟き、自分への言い訳だと気付く。
光の線が夫と自分の腰の辺りを横切り、細かな埃がキラキラと舞って壁を作っている。
腰から下はいらないと、誰かに嫌味を言われているようだと思い、沙織は緩やかに縁を辿るその光を見つめてクスリと笑った。
今日も暑くなりそう
カーテンの隙間から射し込む陽の光に向かい、立ち上がってそれを勢いよく開け放つ。
「……」
どう返事をするべきなのか、沙織は迷っていた。
なぜ迷っているのか、なぜ簡単に、「No」という答えが出せないのだろうかと自分を責めた。
胸の鼓動は勝手に高まり、カーテンを握ったままの指先が震える。
「沙織、眩しいよ」
夫が目を覚ました。
「おはよう。
今日もいいお天気よ」
沙織はレースのカーテンだけを閉め、笑顔を残して階段を下りた。