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秘密
第2章 誘い
いつものように、当たり前に慎一郎は出勤する。


「沙織、今日も遅くなるよ」

「無理しないでね。
いってらっしゃい」

「慎一郎、たまには早く帰ってきて夕飯ぐらい一緒に食べなさい」

「そうだね。
そうしたいよ。
じゃ、いってきます」


笑顔でドアを出ていく慎一郎を、沙織は傍観者のように見つめていた。






「そういえば沙織さん、奈美子さんはお元気かしら?」


二人で朝食の片付けをしながら義母の咲子が話し掛ける。


「はい、昨日電話したんですけど、相変わらず忙しそうで…」

「しばらくお会いしてないわね」

「母は忙しくしているのが好きなんです、ふふ…」


テーブルを拭きながら沙織が明るく答える。


「そうね、ホントに彼女は働き者。
でも、たまにはお店にどうぞって伝えてちょうだい、奈美子さんとはお喋りが弾んで楽しいわ」

「はい、ありがとうございます。でも働き者は母だけじゃありませんよ、お義母さんだって…」

「そう?…ふふ…気をつけます。
あぁ、そうだ、今日は8時半に予約が入ってたんだわ」

「あら、急がないと…、後は私が」

「いつも悪いわね。
それじゃあ、ここお願いします」




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