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秘密
第9章 露見
奈美子は一呼吸置いて続けた。
「あなたと倉本さんが真剣なのはわかってる」
「えっ?」
「でも、あなたらしくないわ…。突然指輪を置いて出てくるなんて…、そうするしかない理由が他にあるんじゃないの?」
「どうして?…何もないわ」
「倉本さんが、あなたにそんな事をさせて、ここで私に黙ってるわけがないでしょう」
「………」
「何かあったんじゃないの?」
「………」
「黙ってないで答えなさい、沙織、何があったの?」
ごめんなさい
お母さん
言えない…
「倉本さんは何も知らないわ、私が勝手にやった事なの、お願い、もう帰りたくない…、お母さん、あそこへは帰りたくない…うぅっ…嫌なの、お願い…ウウッ…」
「沙織…」
奈美子は娘が泣く姿を初めて見た気がした。
それほど慎一郎と上手くいっていなかったのか、それとも本当は嫁姑の問題があって自分には言えずに黙っていたのか…
奈美子は電話の受話器を取った。
「何するの?」
「咲子さんに話を聞くのよ」
「…っ、やめて!
それだけはやめてっ」
沙織は立ち上がり、受話器を奪おうとした。
「大丈夫、冷静に話せるわ、お友達なんだから。…あなたと話していてもよくわからない」
「あなたと倉本さんが真剣なのはわかってる」
「えっ?」
「でも、あなたらしくないわ…。突然指輪を置いて出てくるなんて…、そうするしかない理由が他にあるんじゃないの?」
「どうして?…何もないわ」
「倉本さんが、あなたにそんな事をさせて、ここで私に黙ってるわけがないでしょう」
「………」
「何かあったんじゃないの?」
「………」
「黙ってないで答えなさい、沙織、何があったの?」
ごめんなさい
お母さん
言えない…
「倉本さんは何も知らないわ、私が勝手にやった事なの、お願い、もう帰りたくない…、お母さん、あそこへは帰りたくない…うぅっ…嫌なの、お願い…ウウッ…」
「沙織…」
奈美子は娘が泣く姿を初めて見た気がした。
それほど慎一郎と上手くいっていなかったのか、それとも本当は嫁姑の問題があって自分には言えずに黙っていたのか…
奈美子は電話の受話器を取った。
「何するの?」
「咲子さんに話を聞くのよ」
「…っ、やめて!
それだけはやめてっ」
沙織は立ち上がり、受話器を奪おうとした。
「大丈夫、冷静に話せるわ、お友達なんだから。…あなたと話していてもよくわからない」