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秘密
第9章 露見
家に戻ると、奈美子が洗った食器を片付けているところだった。


「沙織…、ちゃんと話してくれるわよね」


エプロンを畳んでテーブルからイスを引き、沙織に腰掛けるように促した。


「はい」


二人は向かい合い、黙って見つめ合った。


「いつも外した事がない指輪、今日はどうしたの?」

「…慎一郎さんに返して家を出て来たの。
私、離婚するわ」

「…いったい何があったの?」


奈美子の口調は冷静だった。


「…倉本さんと、不倫してるのがバレたの」

「…いつから?」


奈美子はすぐに沙織を責めようとはしなかった。むしろ心配している事がその表情にありありと滲み出ていた。


「夏頃、かな…。
お店に通ってくれてたの」

「どうして慎一郎さんを裏切ったの?」


「………」


沙織は膝の上で強く握った両手を見つめた。


「沙織、慎一郎さんと何かあったの?…本当の事を言ってくれないとわからないじゃないの」

「寂しかったの」

「えっ?」

「出張も多いし…」

「まさか、それだけ?」

「ごめんなさい」

「納得できないわね。
あなたがそんなに簡単に…」



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