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秘密
第10章 秋の日に…
庭を真っ赤に埋め尽くし 、地獄に咲く葉のない花が、私の代わりに二人に囁く



知っている

知っている

その秘密を

知っている



姿を消してもまた甦り
冷たく見つめて囁き続ける……



さあ

赤く咲け

毒を隠して

炎のように燃え上がれ




生活の中に蠢く秘密

素知らぬ顔で過ごす毎日

誰にも知られてはならない

世間体を守る為に
家庭を守る為に

淫れる心をひた隠す


隠しきれなくなるその時まで…




「さあ着いた、ほら、ばぁばが迎えに来てるよ」

「理沙ちゃーん」

「奈美子ばぁばー」


理沙が祖母に駆け寄って行く。


「やだあなた、その新聞持って来ちゃったの?」

「あ、いや…、あ、そのゴミ箱に捨てていこう」

「さぁ、行きましょう。理沙ちゃんの好きなケーキが待ってるわよ」

「やったー」

「理沙よかったわね」

「うんっ」


明るい声が響いた。

4人の楽しげな背中が、光に包まれて笑っている。


倉本がふと足を止め、ゴミ箱を振り返った。





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