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桜宴香~おうえんか~
第1章 桜宴香
驚いた顔をして質問する彼女に苦笑する。
「俺、ただのセフレに鍵は渡さないよ」
「じゃあどういうこと……?」
「さあ?」
出会ってすぐセックスしてしまったけど、ほんの数時間だけど濃密な時間を過ごしてみてわかったのは彼女を大切に思う気持ちと、彼女のことを考えると生活に潤いが出るっていうこと。
それはきっと彼女のことが好きだからなんだ。実際相当愛おしいと思ってるし。
快楽だけじゃなくて彼女のことをもっと知りたい。彼女と過ごす時間を大切にしたい。
恋愛なんてわからないもんだな。
「『さあ?』って……湊さん酷い」
「酷いのはそっちだろ?とりあえず連絡先登録するからちゃんとした名前教えて」
「あ……本当だ。ごめんなさい」
クスクスと笑い合った俺達は倉庫を後にする。
「じゃ、あとでね。“浅倉由依”さん」
ぺこりとお辞儀をして去っていった彼女を見送ると、晴れやかな気持ちで仕事に戻った。