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大地の恋
第3章 プリズム
ーーーーそれからしばらくして俺は一人、街の中にいた。
こんな風に据え膳を断ったのは真優と別れて以来初めての事だった。
長男はつくづく損だと思う。
期待に応えたい、その気持ちを裏切りたくない…
そんな想いが性欲を上回った。
「コレどうして真優の時発動しなかったんかな」
切なく苦しく、無性に可笑しい。
でも今さらでも乗り越えられた自分がどこか清々しくて颯爽と夜の街を歩いた。
翌日、会社につくと田島さんに物陰に連れていかれる。
「お前ナイスな時に帰ってくれたよ」
「…そうですか?」
「あの後俺、美奈子ちゃんとホテル行っちゃった」
「へぇ…」
あの子、余程ヤリたかったんだな。
「すごいぜー、すごかったぜー」
未だに興奮冷めやらぬ田島さんは頬を紅潮させて夕べの一部始終を話してくれた。
その話の内容はあまりに濃く朝から聞く話ではとてもなかったが、田島さんが自慢したくなる気持ちも分かる気がした。
「付き合うんですか?」
「あー…どうかな?」
「随分後ろ向きな…」
「だって俺32だぜ?付き合うとしたらそろそろ結婚とかも考えるわけよ。そう思うとあそこまで遊び慣れてる子はなぁ……」
「………」
「付き合うならりえちゃんだな」
先輩を見ていつかの自分のようだと感じた。
そしてそんな自分がいかに最低だったかと。
「美奈子ちゃんは機会があったらまたヤリたいけどな」
「最低っすね」
「バーカ、お前に言われたかねーよ」
そういえば林が言ってたっけ。
誰かに昔の俺の話を聞いたとか…
人の口に戸は立てられない……か。
デスクに座ると林が千花ちゃんに話しかけているのが目に入った。
「昨日は楽しかった」
「あ…うん」
「また誘っていいかな?」
「うん…」
千花ちゃんはチラチラ人目を気にしてか曖昧な返事しかしていない。
内容から察して夕べは林と飯でも食いに行ったのだろうか。
昨日まで乗り気じゃなかったように思ったがいつの間に……
これは林が熱を上げるぞ。
どうする千花ちゃん……