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大地の恋
第4章 再会
「グズってなんかないじゃない」
呼び出された理穂は呆れたように俺を見る。
「お前に聞きたいことがあるんだよ 」
「やだ、ヨリなんて戻さないからね」
「うん、俺も戻す気なんてサラサラない」
ゲージ越しにマユと遊ぶ子供達を見ながら俺は理穂をソファに座らせる。
「聞きたいことの推測はつくけど…」
「真優、何て言ってた?」
「……知りたい?」
「そんな焦らしとかいらないから」
「随分余裕がないのね、…元カレとは幼馴染みだったとかずっと会ってないとか…そんな話くらいかな」
「………」
「気になるんだ?」
ニヤニヤする理穂がムカついてまた子供たちに視線を向ける。
「まあ…普通に」
「それなら直接聞けばいいじゃない」
「…聞けたらわざわざ理穂なんか呼ばないから」
「第一恭也がどうこう言えなくない?」
「お前が言うか?真優とアイツは俺たちとは状況が違うから」
マユを撫でる悠月の笑顔は確かに真優に似てると思う。
それを見抜いたアイツは悠月と居て何を思っていたのだろう…
「そんなこと何で恭也が知ってるの?」
「会ったんだよ…真優の入院中に」
「………」
「多分相手はまだ真優の事忘れてない」
「ええっ!?思い過ごしでしょ?」
「いや…思い過ごしじゃない」
「………」
理穂は一瞬だけ言葉を詰まらせたが取り繕うようにすぐ俺に言った。
「でも真優ちゃんは少なくともそんなつもりないと思うよ」
「真優にないのは分かってる…でもアイツにある以上は会わせたくない」
教師という立場から、真優はアイツといるべきだと一度は思った。
でも真優と家庭を築いた今、…アイツの想いはまた真優の心を持っていくんじゃないかと心配になる。
「恭也……」
「女々しいわね!」
その時、理穂の言葉に被るように苛ついた声がして、二人揃って振り返るとそれは母親で。
……話がこじれる。直感的に思う。
「何立ち聞きしてるんだよ、趣味悪いな」
「わざわざ奥さん以外を呼び出すなんて怪しいじゃない。恭也が良からぬ事をしないよう見張ってたの!」
「しないから」
「でも自分の事棚に上げてそれもどうなのよ!?」
母親が俺に詰め寄る。