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大地の恋
第4章 再会
デスクに着くと遠くの千花ちゃんと目が合った。
……が、千花ちゃんはすぐに目を反らす。
当たり前か、昨日の今日だ。
昼休みになると気づいた時に千花ちゃんの姿はなかった。
終業の少し前、席を立つ千花ちゃんを追って声を掛ける。
「千花ちゃん!」
「………」
気まずそうな千花ちゃんは俺の目を見ようとしない。
「あれから大丈夫だった?」
「はい…すみませんでした。家まで運んでいただいたそうで」
「思ったより軽かったから良かったよ」
「そうですか…」
俺の冗談にも反応しない千花ちゃん。
その声色は固くいつもより低い。
「……あのさ、昨日の話だけど」
「私、仕事があるので」
千花ちゃんが逃げようとするから思わず腕を掴んで引き留める。
「千花ちゃんのことは妹みたいに思ってる。…そういう意味で千花ちゃんは大事な子だから」
「妹…ですか」
それは今伝えられる精一杯の好意だ。
千花ちゃんはその言葉に納得していない顔で初めて俺の目を見た。
「私は板橋さんをお兄ちゃんなんて思ったことは一度もないですよ」
「………」
「どうしてわざわざそんな事言うんですか?…言ったじゃないですか、俺なんかやめろって…私なりに諦める努力をしてるんですから邪魔しないでください」
掴まれた手を振りほどき千花ちゃんは俺に背を向けた。
遠ざかる千花ちゃんを見つめながら彼女の気持ちを拒否しても、どこかで千花ちゃんは今までと変わらず俺にくっついてくる自信があったことに気づかされる。
千花ちゃんを受け入れないということはこういうことなんだとこうなって初めて気づくなんて情けない。
それからも千花ちゃんはさりげなく俺を避けた。
避けられるほど俺は千花ちゃんが気になって気になって…
林とはどうなっているか分からない。
でも相変わらずアプローチを諦めない林の姿は見掛けていた。
そんな二人を見る度俺は…
苦しい胸を開放するかのようにネクタイを緩め平静を装っていた。
……が、千花ちゃんはすぐに目を反らす。
当たり前か、昨日の今日だ。
昼休みになると気づいた時に千花ちゃんの姿はなかった。
終業の少し前、席を立つ千花ちゃんを追って声を掛ける。
「千花ちゃん!」
「………」
気まずそうな千花ちゃんは俺の目を見ようとしない。
「あれから大丈夫だった?」
「はい…すみませんでした。家まで運んでいただいたそうで」
「思ったより軽かったから良かったよ」
「そうですか…」
俺の冗談にも反応しない千花ちゃん。
その声色は固くいつもより低い。
「……あのさ、昨日の話だけど」
「私、仕事があるので」
千花ちゃんが逃げようとするから思わず腕を掴んで引き留める。
「千花ちゃんのことは妹みたいに思ってる。…そういう意味で千花ちゃんは大事な子だから」
「妹…ですか」
それは今伝えられる精一杯の好意だ。
千花ちゃんはその言葉に納得していない顔で初めて俺の目を見た。
「私は板橋さんをお兄ちゃんなんて思ったことは一度もないですよ」
「………」
「どうしてわざわざそんな事言うんですか?…言ったじゃないですか、俺なんかやめろって…私なりに諦める努力をしてるんですから邪魔しないでください」
掴まれた手を振りほどき千花ちゃんは俺に背を向けた。
遠ざかる千花ちゃんを見つめながら彼女の気持ちを拒否しても、どこかで千花ちゃんは今までと変わらず俺にくっついてくる自信があったことに気づかされる。
千花ちゃんを受け入れないということはこういうことなんだとこうなって初めて気づくなんて情けない。
それからも千花ちゃんはさりげなく俺を避けた。
避けられるほど俺は千花ちゃんが気になって気になって…
林とはどうなっているか分からない。
でも相変わらずアプローチを諦めない林の姿は見掛けていた。
そんな二人を見る度俺は…
苦しい胸を開放するかのようにネクタイを緩め平静を装っていた。