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大地の恋
第4章 再会
「…大袈裟」


「えーっ!ホントですよ!!」


これは今まで見た中で一番無邪気な笑顔だろうか。


それからも千花ちゃんはウサギを抱え始終嬉しそうに笑っていた。
それだけで俺まで嬉しくなった。



旅館に戻ってからは温泉に入ることになり、浴場の前で千花ちゃんと別れる。



「おー!広いな」



時間が早いせいか広い浴場には俺一人だった。
温泉を堪能しつつふと夜が頭を過り天井を見上げた。


「………」



ここ数年はご無沙汰といえどセックスなんて色んな女としてきた。


でも、気持ちの籠らないセックスなんて自慰と何ら変わらない。
そんなことばかりを繰り返した俺……



今夜、大丈夫だろうか。



千花ちゃんを大切に、きちんとしたいと言いながら千花ちゃんを抱くのがどこかで怖かった。


真優で知ったセックスで真優を裏切った。


あの一件以来、セックスの意味合いは俺の中で180°変わっていた。


だからだろうか……精欲の捌け口だけじゃない、気持ちが先に立つセックスがどんなに幸福か知っているのにそれを怖いと思っている。



だからといって抱きたくないのかと言えばそれは嘘で。



……要は俺がヘタレだということだ。


行為を前にビビっている。
初めての時には微塵も感じなかった癖に今、俺は千花ちゃんとのセックスを前にしてビビっていた。


「ハハっ、ガキか」




ーーーーーでも……








着替えて出ると千花ちゃんはまだいない。
だから近くの椅子に座って色んな事を考えていた。



「板橋さん」



しばらくして名前を呼ばれた。


振り向いた先に湯上がりの千花ちゃん。
いつも化粧は濃い方ではないがすっぴんの千花ちゃんは幼く見える。


「待たせちゃいました?」


「いや……」


じっと顔を見ていると千花ちゃんが赤くなる。



「……あの、そんなに見ないでほしいんですけど」


「ああ…悪りぃ。化粧落とすと随分幼くなるんだなと思って」


「えっ…アイメイクくらいした方が良かったですかね!?」


「いや…それも変だろ」


「そっか」


千花ちゃんは素顔を気にしていたが俺は可愛いと思っていた。
でもそれ以上に俺の目を気にする千花ちゃんが可愛かった。


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