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斉藤太一です
第17章 遅くなってごめんね、しずく
かすみが
しずくと手をつないで
先生に手をふり
僕らは
先生に頭を下げた
それから
「おとーさん」
と、しずくに呼ばれて
僕もしずくと
手をつないだ
幸せすぎて
泣きたくて
たまらない
それでも
必死で
我慢しながら
僕は
歩いた。
おとーさんは
しずくに
そんなところを
見せちゃいけなんだ。
「おとーさん、おやすみなの?」
「おとーさん、家に来る?」
「おとーさん、コーヒー飲む?」
背の高い
僕を見上げるのは
しずくにとって
大変そうなのに
しずくは
何度も僕を見上げて
沢山の質問をした
そして
答えを返すたびに
また
前を向いて
僕らを
両手で
引っ張るように歩いた
ときどき
スキップのようなものを
しながら。
かすみに似て
背の低いしずく。
小さなカラダに比べ
ランドセルが大きい。
代わりに
持ってあげたくなったけど
かすみに
叱られそうだから
…やめておこう。