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Deep Emotion
第2章 始まりの予感
「こちらでございます」

『応接室』と彫られたプレートがはめ込まれた扉を女性がノックした。

「社長、園部(そのべ)です。お連れいたしました」

「ああ、ありがとう。入って」

園部さんが扉を開けると、ソファーから立ち上がる門倉さんの姿が目に入った。

「どうぞお入りください」

促されて部屋に入ると、「では、私はこれで失礼いたします」と言って園部さんは扉を閉めた。

部屋の中には私と門倉さんのふたりだけ。

何だか緊張する。

「私服だと、雰囲気違うね」

門倉さんが私を見る。

仕事を終えたので、私は作業着から私服の黒いニットのトップスとジーンズに着替え、ひとつに束ねていた髪もほどいていた。

「どうぞ、座って。ほんの少し、17時まで話をするだけだから」

「17時?」

「園部に頼んで、今日30分の空き時間が出来るようにスケジュールを調整してもらったんだ」

ふ、と門倉さんの口角が上がる。

「デキる秘書がいてくれて、助かるよ」

座って、と再度勧められて、私はソファーに腰掛けた。

「それで、お話って…」

もしや、今頃クビ宣告とかだろうか…。
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