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隠匿の令嬢
第4章 巣を追われた灰ネズミ
「やめて……降ろしてください! 正気ですか!? 今から神へと嫁ごうとしてる女を拐うだなんて……!」
アリエッタを抱えたまま敷地を横切り門へと続く道を歩くレオは立ち止まり、腕に乗せるアリエッタの後頭部にもう片方の腕を伸ばした。
長駆のレオを見下ろす形になっていても、主導権は彼が持つ。
ぐいりと引き寄せられ、噛み付くようなキスをされる。すぐにそれは深くなる。
桃色の小さな唇の隙間を強引に舌で割り、逃げ惑うアリエッタの舌を追ってぬるぬると擦り合わせる。
「ふっ……あ、……ンン……、はぁっ」
淫らな吐息が洩れ、不安で冷たくなっていたアリエッタの身体に熱が灯る。
「あなたは本当に強情というか……学習能力が足りないようだな。俺は生憎と信仰心がなくてな。王太子の名目上礼拝はするが、神なんて存在は信じてない。たとえもし本当に神が存在し、花嫁を拐った罰が下ろうとも、俺の意志に従った結果なら後悔はしない」
自信を怜悧な面立ちに湛え、きっぱりと言い放つレオ。
もうキスはされてないというのに、そんな彼を眼にしたアリエッタの心に熱が灯った。
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