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隠匿の令嬢
第5章 獣の邸と淫らな教育係




 レオの邸に住み始め、暫く時は流れたが、未だアリエッタはこの暮らしになれないでいた。


 理由はいくつかある。


 連れてこられた初日はアリエッタの精神がぎりぎりの瀬戸際で保たれていたこともあり、レオの厚意に甘えた形となって豪華なドレスを身に纏い、夕食まで戴いた。


 けれどもアリエッタはただ厚意に甘えて過ごすつもりはなかった。




 自分には広すぎる部屋も変えて欲しいと頼んだ。身分不相応だったから。それに対してのレオの返答はこうだった。


「他に空き部屋がないんだ。どうしてもあの部屋が嫌なら、あとは俺の寝室を一緒に使ってもらうしかないな」


 世間知らずのアリエッタだってこれが嘘だというのは解る。


 邸にはいくつもの部屋があるし、いくらなんでも空き部屋がないなんてことはないだろう。


 だがレオの提示はあてがわれた部屋を使うか自分の部屋に来るかの二択。まさかレオと部屋を共有するわけにいかず、アリエッタが引き下がる羽目になった。







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