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隠匿の令嬢
第5章 獣の邸と淫らな教育係
「アリエッタ様! 見掛けないと思ったらまたこんなところでなにやってるんですか!」
キッチンでアリエッタが食器を磨いていると、立ち寄ったナキラがソバカスのある頬を膨らませた。
「えっと……グラス磨き?」
「見りゃわかります! そういうことではなくてですね……。大体給仕長もなに許しちゃってるんですか!?」
「ナキラ、私が無理を言ってやらせてもらってるの。叱らないであげて」
ナキラの剣幕にたじたじの給仕長。体格のいい優しげな面立ちの彼に非はなく、ナキラを宥める。
ナキラは給仕長を睨み上げてからアリエッタをキッチンから出した。
「アリエッタ様、困ります。レオ様に見付かったら私たちが叱られるんですよ?」
「いつもそう言ってるけど叱られてるの見たことないわ。もしお叱りがあるなら、私が受けるから大丈夫。それにレオならさっきお出掛けになられたわ」
初日は真に受けてしまったナキラの殺し文句は、さすがのアリエッタにも数日続けば自分を丸め込むだけのものだと解ってくる。
アリエッタの予想は的中していたようで、ナキラはもごもごと口ごもってしまった。
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