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隠匿の令嬢
第5章 獣の邸と淫らな教育係


 日を追う毎に募る罪悪感。彼女が望んだアリエッタの行く末は、こうじゃなかったはず。


 レオが差し伸べた手を自分で掴んだとは言え、絵を描く傍らで奉公する心積もりであった。


 レオの与えた環境はアリエッタには良好すぎる。ナキラが用意してくれる日替わりのドレスも、贅沢な食事も、アトリエとして使わせてもらっている陽当たりのいい部屋も。


 荒れ放題だった手も元の美しい肌に戻りつつあるのも辛いだけで。


 働きたいというのはアリエッタの自己満足であるのは重々承知はしていたが、働いていないとここにいられないという想いに囚われだしていた。


「わかりました! わかりましたから哀しい顔はなさらないでください。レオ様がいないときだけですよ?」


「ナキラ……。ごめんなさい。それからありがとう」


「いいえ。あ、あとジョシュアさんにも見付からないでくださいよ?」


「わかったわ。それじゃあ、ええっと……この格好じゃ目立つわよね?」


 ライラック色のドレスを見下ろし、アリエッタはナキラのお仕着せを今度は見詰めた。





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