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隠匿の令嬢
第5章 獣の邸と淫らな教育係



 メイドが着る紺の服と白いエプロンを着てしまえば目立たず仕事を手伝えるかとも思った。我ながらなかなかいい案だと。


 けれどナキラに一蹴される。


「無理ですね。私のではその……胸の辺りがキツいかと」


 げんなりして言われ、アリエッタは顔を赤らめる。はしたなくも育ち過ぎた胸を指摘されたからだ。


 するとナキラが妙案を申し出た。


「あれなら着れますね! ちょっとお待ちください!」








「その格好、どうしたんですか?」


 邸で緊張せず話せる二人目の人物である庭師のキッシュが仰天した。


 キッシュは庭師の中で最も若く、アリエッタより三歳年下の幼さをまだ残した少年だ。


「これには色々と事情があって……」


 ナキラの妙案とは男性が着るシャツとトラウザーズならアリエッタにも着れるのでは、というものだった。


 この格好ならジョシュアも気付かないだろうと。髪は縛り上げ、麦わら帽子に隠した。


 となると邸をウロウロしているのも目立つし、いっそのこと庭に出ればと言われた。


 アリエッタが働くのを反対していたはずのナキラは、なぜか妙案を思い付くと積極的に協力しだした。


 何かが吹っ切れたのか、自棄になったのか。


 アリエッタはナキラの気が変わらないうちに庭へと出ることにした。







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