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隠匿の令嬢
第5章 獣の邸と淫らな教育係
「アリエッタ様のことでひとつご進言申し上げても?」
「……言ってみろ」
「仕事をお与えになったらいかがです? こちらにおいでになってから、日に日に元気をなくされてるようお見受けしましたが?」
そんなこと言われなくても解っている、と胸の内で独りごつ。彼女の性格を考えればなんでもいいからやらせてあげたい。だが苦労させるために連れてきたのではないのだ。
「随分入れ込んでるんだな? まさか惚れたのか?」
「滅相もございません。主人の客人に特別な感情を抱くはずありません」
「ならいい。アリエッタのことは検討中だ」
「我が主は国政のことは瞬時に判断されるのに、アリエッタ様のことは長く判断をされかねるのですね」
「わかった、わかった。早急に決める。話が終わったなら下がれ」
ジョシュアを追い出すと、皮製のゆったりとした椅子に凭〈モタ〉れかけ、宙を仰ぐ。
「さて、どうしたもんかな……」
レオは宙をさ迷わせていた視線を何かを思い付いた表情をしたあと、眼をすっと細めて一点に絞った。
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