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隠匿の令嬢
第5章 獣の邸と淫らな教育係






 ルビーレッドのドレスに着替えたアリエッタはダイニングに案内される。向かい側の席にはレオがワインの注がれたグラスを回し、香りを楽しんでから喉に通した。


 アリエッタはといえば豪勢な食事の数々を黙々と咀嚼し、味わいもせずただ嚥下しているといった風だ。


 ここアッシュブラン邸でアリエッタが最も馴れないのが、豪奢なダイニングでする食事だった。


 と言っても、レオと食事を囲むのは三回目。彼は街へ視察へ行ったり、王城へ呼び出されたりと忙しい日々を送っていて。


 邸宅に戻ってきても執務に追われ、夜中まで資料と向き合っていることもあるらしい。


 レオの生活を知ると、学校へ通っていられるのが不思議なくらい多忙であった。


 レオがいない日は部屋に食事を運んでもらうか使用人たちと共にした。一般的には客人と……アリエッタ自身は客人扱いに納得はしてないが、ともかく使用人と食事をするのは考えられないことだ。


 たが普段から食の細いアリエッタを気遣ってか、大勢で楽しく食べれば少しは喉を通りやすくなるとの配慮からそうさせてもらっている。





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