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隠匿の令嬢
第5章 獣の邸と淫らな教育係
レオは肘をつき指を組んで、その上に顎を乗せ優しげな眼差しをアリエッタへと送る。食卓で肘をつくなど不作法なことなのに、なぜかレオがすると優雅でさえある。
「前にも言ったがキミも我が家の一員だ。もっと肩の力を抜いて、好きに振る舞えばいい。働いてないからと肩身の狭い思いをしてるのであれば、善処はする。その代わり、コックが腕によりをかけて作った料理をもっと味わってやってくれ。あと出来ればもう少し笑ってくれると嬉しいんだがな」
何年もの間、自由を制限され、悪意に晒され続けたアリエッタにとって、突然好きに振る舞えばいいと言われても早々には難しい。
笑うのも泣くのも、アリエッタは赦されてなかった。それは感情を殺し、自分を捨てろと言われたも同然で。
自分らしく、感情をすべてさらけ出せたのは絵の中だけ。
レオの傍にいれば、無くしたものを取り戻せる日が来るのだろうか──?
アリエッタは小さく頷きながらも、見えない未来に期待と不安の狭間で心を揺らした。
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