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隠匿の令嬢
第5章 獣の邸と淫らな教育係


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 ある夜のこと。


 浴室で身を清め、ナイトドレスを身に纏い、寝台に上がりかけていたアリエッタの部屋の前の廊下でガラガラとカートが転がる音がして、次いで扉が叩かれナキラが訪ねてきた。


「夜更けに申し訳ありません。レオ様がお呼びです」


「レオが? 解ったわ。着替えてから行くわ」


 薄手のナイトドレス姿で男の部屋に訪ねるわけにいかず、クローゼットを開ける。


「あ、いえ。こちらのお茶をアリエッタ様に運んで欲しいとのことで。お茶が冷めちゃいますからお急ぎください」


 ナキラがクローゼットに割って入り、ガウンをアリエッタに羽織らせる。


「で、でも……。あ、ちょっとナキラってば押さないで」


「だって早くしないとお茶が渋くなっちゃいますし」


 背中を押され、部屋から出された。部屋の前には銀色のカートの上にティーポットと茶器が二揃え置かれていた。


「じゃああとはお願いしますねー」


 ナキラはそう言うとさっさと廊下を歩いて行ってしまった。






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