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隠匿の令嬢
第5章 獣の邸と淫らな教育係
「アリエッタには俺の教育係を頼みたい」
「レオの……教育係?」
意気揚々となんでもすると言ったアリエッタだったが、思わぬ仕事内容に眉を顰〈シカ〉めた。
レオは自他共に認める優秀な男だ。ナキラから聞いた話だと、何ヵ国語も話せるらしいし、剣の腕前も一流で、とにかく何をやらせても難なくこなすとのことだ。
そのレオにアリエッタがなにかを教えられるとは思えない。考えられるとすれば──。
「絵を教えればいいのかしら? でも私、人に教えられるほど……」
「いーや。残念ながら俺には芸術の才能はない。見る方は一応眼は肥えているし、それなりには解るんだが、自分でってのはちょっとな」
「そうなの? 意外だわ」
「そうか? 笑わないって約束するなら今度描いてやるぞ?」
「ぜひ見てみたいわ」
「……やっぱ止めておく。絶対笑われそうだ」
「笑わないわ。いつか見せて?」
レオが「絶対だぞ」だと念を押すものだから、アリエッタはそんなに酷いのかと想像し、くすりと笑いを漏らした。
しかしこのあと、上向きだったアリエッタの心は真っ逆さまに落ちることになった。
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